永遠の約束(深青編-序章-)
「ええ………。本当に、驚いたわ。相談に伺った時はお元気そうだったから。それにしても、ご家族全員いらっしゃらないから」
「はい………。母は父のような力は持っていなかったので、続けることはできなかったんです。それに、父が亡くなったことで母も精神的にまいってしまって、心機一転ということで如月神社を離れることにしたんです」
その奥にある真実を大也たちには話しても大也母には深青は話さなかった。
それは、まだ信じきっていないというのと父の死の真実を多くの人に話すのに抵抗があったからだ。
それに、話さないで済むのなら話さないほうがいい。
全ての人が心の底からわかってくれるとは限らないから………。
「まあ………、そうだったの………。大変だったわね」
「いえ、優奈のご両親も助けてくださったので。今は元の通りに家族で元気に暮らしてます」
深青はいつもどおりの明るい笑顔を向ける。
だが、すぐに笑顔から真剣な顔をする。
「相談された時、父は正木くんの力について何か言ってましたか?」
「いいえ。会ってみないことにはなんとも言えないと言われたわ。大也のためにも確実ではないことは言えないと」
「……お父さんらしい………」
深青は微笑む。
その表情をどうとったのか大也母は複雑な表情をする。
「あの時、信じればよかった。すぐに大也を連れてあなたのお父さんのところに行けばよかった。そうすれば………」
ハンドルに頭を乗せ、うなだれる大也母。
「おばさん………」
優奈は後部座席から大也母の肩にそっと手をのせる。