永遠の約束(深青編-序章-)
そうは言われても深青はまだピンとこないのか先ほどの角度ほどではないが、首を傾げる。
その呑気な深青の態度に長年の付き合いの優奈も痺れを切らす。
「もう! このお馬鹿! もういいよ………」
優奈が深青のおとぼけぶりに呆れ、匙を投げようとしたその時になって深青はやっと思い出す。
「あっ! あの行方不明だった子?」
「そうっ! ………って、気づくの遅いよ」
優奈は力が抜けたのか、がっくしと机に体を突っ伏す。
「いや~ごめんごめん。あれから、いろいろあったからさ、別に忘れてたわけじゃないのよ」
「今のどこが忘れてないって言うの! 完璧に忘れてたじゃん」
優奈にキッと睨まれ、深青は無意識のうちに視線をそらす。
「で? 優奈見てきたんでしょ? その子のこと。どんな感じだった?」
「別に普通の子。まあ、私にはそういった力はないからね。今からじゃもう時間ないから無理だけど、2限ちょうど体育じゃん。その時に、じっくり見てみてよ。何か変なことがないかね」
「………うん。何もなければいいけど………」
深青は物憂げに目を伏せた。