永遠の約束(深青編-序章-)
「ど~うしてそういう大切なことを忘れちゃうのかな~? この頭は!」
「イタイイタイ!」
ことのあらましを聞いた直後に優奈は大也の耳をつまんで強引に下へ向かせ、両手で拳を作りぐりぐりと大也の頭に向ける。
攻撃を受けた大也は痛みを堪えるように片目を瞑り優奈の攻撃から逃れようと優奈の手首を掴んで離そうとする。
そんな隣で不毛な戦いが行われているのをまたまた深青は止めようともせずに遠くを見ていた。
もちろん、ただどこかを見ているというわけではない。
視線の先には一条香織がいた。
「………教師と一緒か………」
ポツリと呟いた深青の言葉に大也は救いを得たというように飛びつく。
「そうなんだよ。だけど、別に変じゃないだろ。教師と生徒が一緒にいるくらい。だから、別に気にも留めなかったんだよな。そんな、勘ぐるほうが嫌じゃん」
「でも、あれだけ行方不明だとか騒いでたのに忘れてたのはどうかと思うけど」
「う………」
自分の正当性を述べたものの優奈に簡単にノックアウトされる大也。
「教師って誰かわかる?」
全く気にもかけていないのか深青は大也に質問する。
「え………?」
「ダメダメ! 今の今まで一条さんのことも忘れてた奴だよ。そんな教師のこと覚えているはずないって!」