永遠の約束(深青編-序章-)
「まあまあ。私も出るときに聞いたけど、今日は練習として2人で行かせたほうがいいだろうということみたいよ」
「なによ。それなら、そうと言ってくれればいいと思わない? それだったら、別に腹も立たないのに。どうして、ウチの親はああいう言い方しかできないのかな」
優奈の怒りはまだまだおさまりそうにないようだ。
「優奈。そろそろ、行かないと電車に乗り遅れそう。さすがに入学式そうそう遅刻すると余計に言われるよ」
「それは、嫌! 早く、行くわよ」
頭に上った怒りもさすがに、次にやられることを考えると冷静に戻るらしい。
後ろをついていきながら、深青は微笑む。
そんな2人の姿を周囲は取り巻くように見ていた。
見ていたというよりも自然と目に映るのだ。
優奈は会話からは想像するのは難しいかもしれないが、目は大きく二重で、髪は真っ直ぐ長く今日はそれをねじって横によせ1つにくくっている。
だが、その長さはそうとう長く、見たところ腰のあたりまでありそうだ。
黙っていれば、とても可憐なお嬢様タイプ。
もちろん、スタイルも良い。
だが、性格はその容姿とは正反対。
明らかにもてる容姿だが、あまりにも綺麗過ぎるのと男勝りな性格と口の悪さから今までに彼氏ができたことはない。
一方、深青は冷静沈着で物静か。
日常的にも優奈といるとぼけぼけとしていてすぐに突っ込まれる。
先ほど冷静沈着と言ったがもしかするとただの天然ボケなのかもしれない。
何をするのもポワポワしていてまるで正反対のこの2人が親友というのも不思議なことだ。
だが、容姿は優奈には及ばないが美少女だ。
優奈と同じように長い髪は真っ黒くストレート。
その髪を高い位置でくくっている。
顔立ちも整った美しい容姿。
日本人の美しい部分を全て凝縮したような美だ。
人目を引かないわけがない2人だが、なぜだか男の子たちに言い寄られたという経験は皆無なのだ。
それはそれで悲しいのだが………。