永遠の約束(深青編-序章-)


「ああ………、そうだな。その話だよな」


大也は一人ごちた後、もう1度、一条香織のほうを見る。


その時、大也はこちらを一直線に見つめる一条香織と目が合う。




明らかにこちらを凝視している。


見ているのも驚いたがその視線に大也は薄ら寒いものを感じる。


なぜかはわからない。


睨まれているわけでもないのだが…………しいて言えば、彼女の目に感情が見えないことが怖いのかもしれない。





どんな表情をしていたのか、大也を心配そうな顔で深青が覗く。


「正木くん? どうかした?」


いきなり、黙り込んだ大也に深青と優奈は違和感を感じる。


どうしたのかと表情を見てみるとなんだか固まった感じでただ事ではない雰囲気。


だけど、何がどうなったのかは深青たちにはこれっぽっちもわからなかった。


「ごめん………。なんでもない」


大也は額に手を置いた。


その時になって初めて自分が汗をかいていることに気づいた。


それも、普通の汗などではなく、冷や汗を………。





大也の普通ではない様子に深青は大也が見ていた方角を見る。


数秒、何もなかったのがいきなりハッと大也の方を見る。




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