永遠の約束(深青編-序章-)
「え~っと、ここでは………。中に入ってもいいですか?」
そう言うと、深青は強引に湯川を押しのけ準備室のドアを勢いよく開ける。
「あっ! こらこら!」
だが、開けた先には誰の姿も見当たらない。
「だから、言ったじゃないか。誰もいないと………」
湯川が後ろからやれやれと言った口調で言う。
だけど、微かに淡い香水のにおいが準備室に漂っていた。
いかにも先ほどまで誰かがいたのは明らかだ。
深青は切り替えて湯川の方へと向き直る。
「すみません。誰にも聞かれたくない話だったもので、確認するような態度をとって」
「全く、仕方ないねぇ。それで、それほどまで聞かれたくない話と言うのは何かな?」
湯川は苦笑する。
何の疑いも持っていない湯川を確認し、深青は確信をついていく。
「あの………、とても言いづらいのですが………、先生って一条さんとどういった関係なんですか?」
一瞬、湯川の顔から笑みが消えた。だけど、すぐに元通りにうそ臭い笑みを浮かべる。
「えっと………、一条さんって、誰かな?」
「たぶん、先生もご存知だと思いますよ。あの行方不明になった子です」
「ああ。そういえば、いたね」
白々しく湯川はかわす。
「それで、私偶然見ちゃったんですよね。先生が一条さんといるとこ」