永遠の約束(深青編-序章-)
そこには、げほげほと咳をしているが、無傷な優奈たち3人の姿があった。
「な…なぜ? どうして? 確かに命中したはず……」
動揺し、語尾が震えている香織に深青は事の成り行きを説明する。
「確かにあなたの攻撃は命中していた。何もせずにいたら間違いなく優奈たちは死んでいたでしょうね。だけど、危険だとわかっているのに何もせずに自分の傍から離しておいておくと思う?」
香織は震える目で深青を一瞥した後、もう1度優奈たちのほうを見る。
先ほどは、予想外のことに動転して見落としていたが、優奈たちがいる場所に不思議な模様が浮かびあがり、膜を張っている。
そして、その上空で一羽の光る小さな鳥が旋回していた。
「…あ……」
「そう。あれは、あなたが起こした技と同じ要領よ。あなたは印を使い攻撃をした。私は逆に防御に使った。ただ、それだけのこと」
深青は淡々と説明をするが、それは簡単なことではない。
香織が先ほど行った攻撃は、正直なところ、もう1度行うのは難しい。
かなりの体力を消耗するのだ。
1度の攻撃で3人を消す。
それが、香織の役目だった。
その後のことは……。
香織は、立っているのがやっとの状態でもう1度攻撃を行おうとする。
今度は、優奈たちではなく涼しい顔をしている深青に。
「やめなさい! 死ぬわよ!」
深青はそれでも攻撃をしようとする香織を止めるために走りよる。