永遠の約束(深青編-序章-)
電車の中でのことを深青は母たちに事細かに教えた。
「あはははは。まあまあ、さすが、私の娘。でも、その男の子には悪いことしちゃったわね」
「笑い事じゃない! それもこれも、朝一緒に車で行けばこんなことなかったじゃないの!」
「何甘えたこと言ってんのよ。どうせ、明日からは行かなくちゃいけないでしょ。今日のことは明日あったかもしれないでしょ。1日早く起こっただけじゃない。逆に今日起こったから明日からは心おきなく電車通学できるじゃない」
脳天気にあっけらかんと言ってしまう優奈母。
さすが、優奈を産んだ女である。
さすがの優奈も言い含められてしまう。
そんな2人のやりとりを微笑ましく後ろから見守る深青とさゆり。
いつものことなので、こんなやりとりもなれてしまっているのである。
「あ!」
いきなりの声に4人は、その声がするほうを見る。
真っ黒な黒髪で前髪を真ん中で分けている男の子。
見た限り、学校の制服を着ているところから鈴白学園(すずしろがくえん)の生徒らしい。
それも、制服の真新しさから見るとどうやら新入生のようだ。
だが、その男に深青も優奈も覚えがない。
「誰? 深青、知り合い?」
優奈は深青に問いかける。
「さあ? 知らないけど………?」
首を傾げる深青に優奈はこっそりと話す。
「でも、明らかにあんたのこと見てるわよ」
「うーん………。でも、覚えないよ」
深青は覚えがあるか考えたがやっぱり覚えがない。
優奈と深青が誰かと考えている間に、その男の子に1人の少女が近寄ってきた。