永遠の約束(深青編-序章-)
その仕草が、馬鹿にされたように見え、驚愕から怒りへと湯川を変貌させる。
「お前は一体、何者だ! 俺が使おうとしている術さえも見破り、妖魔をいとも簡単に封じてしまう。お前は!」
「聞きたいのなら、自分から答えて。先に質問をしたのは私よ。さあ、言いなさい。あなたに妖魔を譲ったのは誰? 言えば、私のことも教えてあげる」
声を荒げる湯川に対し、深青も負けじと言い返す。
「だから……、さっきから何を言っているのかわからないと言っているじゃないか。確かに妖魔は一気に複数を持つことはできない。だけど、自分が飼っている妖魔を人に憑依させた後には、自然とまた俺の元には妖魔がやってくる。俺の力となるために……。俺は選ばれた特別な人間だからな」
言いながら自分の中で余裕ができてきたのだろう。
先ほどまでのうろたえた姿はなく、落ち着きを取り戻し、余裕さえみえてきた湯川。
その逆に深青は苦々しく唇を噛む。
その深青の表情を見て、ますます自信を取り戻す湯川。
「……知らない間に妖魔を送り、相手に自分のことを考えもおこさせない。相手は自分自身が能力を持っていると勘違いをする。……人を駒としか見ていない。なんて奴なの」
「そんなに褒めてもらえるとは光栄だね。さあ、俺は自分のことは言った。次は君の番だよ」
湯川は余裕の笑みを見せる。
そして、顎をくいっと動かし、深青に促した。