永遠の約束(深青編-序章-)






遠目から見ていた大也はもう近くに行きたくてうずうずしていた。




だが、ここにいなければいけない理由を知っている大也は1歩を踏み出すことができない。


それでも、なんとか傍に行きたい。


行って、湯川を一発殴りたい。


そんな衝動に駆られていた。


「あー、くそっ!」


大也はおさまらない怒りを地面に蹴りつける。


「ちょっと、正木。後ろで暴れないでくれる? うるさくて肝心なところが聞こえないじゃない!」


優奈は勢いよく振り返ると大也の頭を一発殴った。


「いってぇ! そんなに聞きたければ、ここにいないで近くにいけばいいだろ! 俺だって、こんなところで傍観してるだけじゃなく、あいつを一発殴りたいんだよ」


無謀なことを言っている事は大也自身、よくわかっていた。


だから、それはすぐに却下されると思っていた。


「あ…。そうね。近くで聞けばいいんだ。よし、ここから出ちゃおう!」


先に言ったのは自分だが、まさか同意されるとは思わず、大也は焦る。


目の前ですぐに行こうとする優奈の肩を掴んでとにかく一旦止める。


「ちょっと待て。勝手にここを動いていいのか? ここにいることで、如月は俺らを守ってるんじゃないのか? ……もし、出て行けば俺らも危険だし、如月にも邪魔になるんじゃ」


「ああ、大丈夫だと思うよ。この結界を作ってるのおそらく、この子だし……」


そう言うと優奈は真上を指差す。


大也とみゆきはゆっくりとその先を見る。


そこには、くるくると旋回する小さな鳥の姿が……。




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