永遠の約束(深青編-序章-)
「でも! ………つらいなら死なせてあげても………」
みゆきは言った後でハッとする。
優奈の漂わす雰囲気が変わったのだ。
「本気でそんなこと言っているの? つらいなら死んだほうがいいって………」
みゆきは何も答えられず口ごもる。
「簡単に言えるのは死を本当の意味で知っていないからだよ。目の前で、今まで元気だった人が死んじゃったらどうする? 心積もりも何もできない状態で。心にぽっかり穴が空いちゃったようになるんだよ。………だから………深青は一時期、口もきけないような状態になっちゃったんじゃない」
優奈は言いながら思い出す。
あの時のことを………。
深青は綺羅に会いに行ったことで戻ってくれた。
だけど………何のきっかけも持つことができなかったら?
深青はまだ、あの時のままだったのかもしれない………。
死はそれほど人に影響を与える。
それは近ければ近いほど………。
優奈はあの時に初めて死の重大さを思い知ったのだ。
命は簡単に捨ててはいけない。
どんなにつらくても自分だけは死によって終わらせることができても、周りの人が変わりに苦しむ。
そのことを考えずに死を選ぶ人はやはり自己中心的で逃げている人だと優奈は思う。