永遠の約束(深青編-序章-)
第3章 眠れる恋と迫り来る?
(1) 好きな人
「よ! 今日は1人か?」
深青は後ろから声をかけられ驚いて振り返る。
「正木くん。そういう正木くんこそ。みゆきちゃんは?」
声の主、大也の隣にいつもいるはずのみゆきの存在に深青は首を傾げる。
「今日は日直なんだって。朝早く起こしにだけ来て、先に行った」
「一緒に行かなくても、起こしにはくるんだ」
深青はクスクスと笑う。
その光景がまるで目に浮かぶようだ。
「そんなに笑うなよ」
「ごめん。だって、もう付き合ってるみたいだもん。どうして、付き合わないの?」
「だから、俺たちはそんな関係じゃないって。前も言っただろう。幼なじみ。近所。腐れ縁。それ以外の何でもない」
「わかりました。まあ、そういうことにしておきましょう」
「だから! ………もう、いい」
わざわざ否定するのもしんどくなったのか大也はあきらめモードに入る。
大也とは何気ない関係が続いている。
彼に見られたという負い目が深青にはあるが、様子を見る限り彼には今のところ何の変化もない。
別にこれといった心配もなく、取り越し苦労になりそうだ。
だけど、もしものこともある。
そのために深青は気を抜かないように心がけていた。
こうやって何事もなく、こんなふうに続くのを深青は願った。