永遠の約束(深青編-序章-)
もちろん、親に言えば反対されるに決まっているので内緒にして優奈は深青を連れ出した。
深青はどこに連れて行かれるのかもそんなこともどうでもいいように、ただ引っ張られるままに優奈の後をついていく。
優奈は、なぜか行く前に深青に言えば深青は行かないのではないかという予感があった。
どうしてかはわからない。
だけど、言ってはいけないような気がしたのだ。
電車に乗っている間も深青はボーッと変わっていく景色を見つめているだけで、一言も話そうとしない。
それが、優奈にはとてもつらい。
このことが自分が正しいことをしているのかはわからない。
もしかしたら、もっとひどくなるかもしれない。
だけど、何もせずにいることは優奈にはできなかった。
幼かったから余計に信じることができたのかもしれない。
きっと、何かが変わる。
そう思うことができた。
先のことなんて考えることをしないで、ただ自分が思ったことを突っ走った。
悪い方向に行くかもしれないなんて考えないで。
わからないなりにも優奈は一生懸命調べた地図を見ながら学校へと向かう。
どうして、自分はこんなにも深青のために動いているのだろう。
ただの友達だからじゃない。
優奈には何か強い縁みたいなものを深青に感じていた。
このつながりは断ち切ってはいけない。
心の中や頭でそのことが響いているのだ。
優奈はぎゅっと深青の手を握って歩いていく。
やっとのことで着いた学校はとても大きくてたくさんの大人たちがいた。
壁に書かれているのを見るとどうやら小学校だけではなく大学まである学校のようだった。
優奈は目の前が真っ暗になるような感覚に陥る。
ただでさえ、彼を探せるのか不安があったのにこんなに大きな学校だと余計にその確率は下がる。
落ち込んでいた優奈の手をいきなり深青が離して走り出す。