永遠の約束(深青編-序章-)






「えっ?」


何が何かわからない優奈は一瞬のことで呆然とする。


でもすぐに我に返り、深青の後を追いかける。


どうしたのかわからないが、深青には目的地がわかるのか迷いもせずに走っていく。


その先には校庭が見える。


すると、急に深青は立ち止まる。


やっとのことで追いついた優奈は深青の表情を見て、深青が見ている先を見る。


そこには小学生の数人の男の子たちと女の子の集団がいた。


優奈はすぐにその中に彼がいるのだと悟る。


そして、見つけた。




少しの間、深青が見つめているのを優奈も隣で見ていた。


涙は流していなかったが、深青の目は潤んでいた。


「ありがとう。優奈ちゃん」


久しぶりに聞いた深青の声だった。


まだぎこちないが深青はできる限りの笑顔を作っていた。


その顔を見て、優奈が逆に泣きそうになったぐらい。






 確かにあの時に深青の心は少し救われた。


だけど、前のようになるにはまだ時間がかかった。


それは今もまだ続いている。


あの時のことがきっかけでよくはなっているが優奈は元に戻るには彼の力が必要だと思う。





会うのかと思ったが結局あの時は、深青は会わずに帰った。


何をしても表情がでなかった深青が彼に会っただけで変わった。


それほどの思いがあるのだから絶対に会うのだと思ったのだが予想を反した答えが返ってきた。





自分たちは、まだ小学生で幼い。


だけど、深青は幼い殻を破って、自分を置いて大人になってしまったのではないか。


自らの父の死を持って………。


優奈はそう思った。


彼に会わないのも単純な理由ではなく、何か大きな事情があるのではないか。






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