永遠の約束(深青編-序章-)
「そうだ、そうだ。おまえがめずらしく熱なんか出すからこんな変な爆発まで起こっちゃったんじゃねえか」
「なによ、それが病み上がりの人間に言う言葉?」
優奈は片手で大也の頭にチョップする。
それを見て深青とみゆきは笑う。
いつもはこの漫才はみゆきがしているのだが同じようなキャラクターの優奈でも十分対応できるみたいだ。
4人は走りぬけ、無事に校舎を出た。
幸運にも火の手はどこにも広がっていないようだ。
化学室だけの中で起こっているようで、深青にはそれが余計に怪しく感じてしまう。
(もしかして、そこだけで大爆発が起きるようにわざと結界を張ったとか………)
そう考えていたその時だった。
校舎を出て、安心したので大也がみゆきを降ろそうと立ち止まってしゃがんだその時。
ヒュ~…。
音が聞こえ、深青は上を見上げる。
「危ない!」
声と一緒に深青は大也を突き飛ばす。
その背に乗っていたみゆきも自動的に飛ばされて2人とも抱き合うように地面に倒れこんだ。
そして、今まさに大也たちがいた場所に植木鉢が落ちてくる。
いきなりのことだがまるでスローモーションのように深青は感じた。
大也とみゆきは打ったところをお互いに押さえながら立ち上がる。
そして、今まさに自分たちがいた場所。
植木鉢が落ちて粉々にとび散った場所を見て、血の気がサーッと引く。
「2人とも大丈夫?」
深青と優奈が駆けつける。
深青の姿を見たみゆきと大也は命の恩人に礼を言う。
「ありがとう。もう、まさに如月さんが押してくれなかったら、あたしたち死んでたよ」
みゆきは深青の手を両手で握って感謝する。
同じように言おうと思っていた大也は先を越されてなんだか言いづらくなる。