永遠の約束(深青編-序章-)


「本当、サンキューな。お前のおかげで助かった。でも、お前、大丈夫か? 俺たちのこと押したせいでお前のほうが危険度高くなってたんじゃ?」


言いながら、大也は無傷でいる深青のことを不思議がる。


深青は大也たちを押したのだから、その植木鉢の降下下には深青がいるわけでそうしたら、あの一瞬のことでどうしたら回避できたのか、大也は考えれば考えるほど不思議に思う。


だけど、そんな大也の考えも深青はさわやかに吹き飛ばす。


「2人を押したのは降下下より少し隣だったから。それから避けたし、運よく無傷でした」


笑いながら言う深青の説明にめずらしいこともあるものだと大也とみゆきは納得する。






だが、本当のところそんなはずがない。




実際は少しの時間に植木鉢を霊気で止めていたのだ。


そして、止まっている隙に自分は避け霊気の膜を解除する。


すると、そのまま植木鉢が落ちる。
という仕組みだったのだ。


短時間であったことと突き飛ばされた衝撃で体勢を起こす時間があり、2人ともそんなことが行われていたということは気づかなかったのだ。




全てを見ていた優奈は内心見られていなかったかひやひやする。


あれほど、大也の前では気をつけなくてはいけなかったのにその本人の前で霊気を少しだけでも放出するとは。


非常事態とはいえ………。


(とにかく、あんな説明で納得してくれて助かったわ)


優奈はほっと胸をなでおろす。




そんな風に優奈が思っている隣で深青は植木鉢が落ちた場所から上を見上げていく。


見た限り、植木鉢自体が設置されているような場所はない。


それなら、どこからあれは来たのだろう。


答えは自ずと見えてくる。


何か人為的に落とされた可能性があるということだ。


だけど、その中に深青は微かな霊気を感じた。


それもどす黒い、明らかに呪法を用いた禍々しい霊気を………。








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