永遠の約束(深青編-序章-)
第1章 桜咲く出会いと遭遇?
(1) 入学式
鏡の前に立ち、髪をギュッとくくる少女。
茶色のセーラーカラーに赤いリボンを少し引っ張りスカートの丈をチェックする。
「よし! 大丈夫」
「深青(みお)――――!」
階下から呼ぶ声を聞き、深青はドアに向かって答え返す。
「はい! 今、行きます」
黒く長い髪を翻し、深青は机の上に置いていた真新しい鞄を持ち部屋を出て行く。
リズムよく階段を降り、リビングへと入るとそこにはすでに妹の唯香(ゆいか)がサラダを食べながら座っていた。
「おはよう。唯香、めずらしく早いね」
いつもは、遅刻ぎりぎりの妹がすでに食事に入っている姿に深青は驚く。
「私、もしかして遅い?」
不安になったのか深青は部屋の時計を見る。
だが、部屋の時計はまだ7時を指す前だ。
「ふふふ。大丈夫よ。まだまだ余裕があるから」
くすくすと笑いながら年齢よりも若く見える母、さゆりが深青の朝食を持ってくる。
「あ、ごめん。お母さん」
深青は持ってきてくれた朝食を受け取って、マグカップにコーヒーを注ぐ。