永遠の約束(深青編-序章-)
「う~ん……。確かに、それだと納得できることもあるけど、やっぱり本質的な問題、正木が狙われていることは不透明じゃない?」
優奈はちらりと大也たちの方を見る。
大也は思いつめた顔をし、みゆきは「うんうん。」と力強く首を振る。
「だから! 正木くん、何か思い当たることない? 何か今まででおかしなことがあったとか、何か違和感を感じたとか見たとか………」
急に話を振られ大也はドキッとする。
そして、何か覚えがないかと目を閉じる。
「う~ん、俺には………特に変わったことって………」
「よ~く思い出してみて。何かわかれば多分、正木くんを狙う意図はそこにあると思うんだけど………」
「そんな………、急に言われても………思い出せない」
大也の言葉に、それもそっか……、とがっくしと肩をおとす深青。
とにかく、周りを埋めていくしかないと意気込む。
「深青。わけはわかんないけど、正木が襲われるのはもう終わったの?」
「ううん。まだまだあきらめていないと思うよ」
「じゃあ、大也はまだ危険なの?」
深青の答えにみゆきが表情を曇らせる。
それもそのはずだろう。
大也の危険は全く持って回避されていないのだから。
「念のため、式を付けとくね」
深青はそう言うと目を閉じ、両手を合わせる。
何も言葉を発していないのだが深青の周りにだけ光が集中し、微かな風が舞う。
その風が深青の前髪を軽くなびかせていると額には金色に光る何かわからないが文字のような印のようなものが浮き上がってくる。
そして、深青が目を開いたその瞳の色は紫色に輝いていた。