永遠の約束(深青編-序章-)
「いいかな? 正木くんに持ってもらって」
「え?」
状況に乗り切れていない大也は深青の言葉に戸惑う。
(いきなり、鳥をもてといわれてもその鳥は本当の鳥ではなくて………)
いろいろ大也の中では思うところがあるのだろう。
だけど、考えても仕方がないと割り切り鳥に右手の人指し指を差し出した。
すると、鳥はゆっくりと大也の指に止まる。
「うわ~、かわいい。なんか、大也がそんな風なのっておかしい。………そうだ! 写真撮っておこう!」
みゆきはポケットから携帯を出す。
「残念だけど写真には写らないよ。この子は式だから。言ってみれば霊体」
鳥のかわいさに忘れていたことを指摘されたようだ。
みゆきは携帯を向けていた手を止める。
いきなり、また未知の世界に引き戻された感じなのだろう。
「こんなにかわいいのに………」
残念そうに首をがっくしと垂れる。
「別に餌とかは必要ないのか? 世話とか」
いきなり預けられて世話の仕方などわからない大也は深青に聞く。
「全然。ただ、傍に置いてくれてたらいいから。今は見えるようにしているけど、人がいるところでは自分で姿を消すから。人に見られる心配もないよ」
「へえ、便利だな」
「そんなの、あたしも欲しい!」
あまりのかわいさと世話の楽さなどからみゆきが素直に欲しがる。