月夜の訪問者
「翔馬?どうしたの?」

翔馬は、小さい時から庭師の御父さんと一緒に邸に出入りしてたので、警備員の中でも顔馴染みだ。
初めは、お嬢様お嬢様と言われ困ったものだ

「実家の庭の花が少し咲き始めまして、お部屋にどうかと積んで参りました」

と、翔馬は、私に花束を差し出す

「そんな、勿体無いわ!
せっかく咲いた花なのに」

と、困ってしまう

「いえ、生け花にも使われる花ですし、家なんかより友理さんのお部屋に似合うかと」

と、翔馬
私の部屋って言うか、三人部屋なんだけど…

「そう?有り難う頂くわ」

せっかく積んでくれたのだからと、受けとる。

「ではこれで、仕事に戻ります」

と、頭を下げ、翔馬は仕事に戻って行った

「頑張って!」

後ろ姿に応援の言葉を送ると

「はいっ」

と、返事が反って来た。

何だか危なっかしいのよね
大丈夫かしら

本当、翔馬が警備員として入って来た時は、ビックリしたわ
でも、頑張ってるみたいだし
私は、影ながら応援している。


あっ、翔馬からもらった花、花瓶に生けなきゃ

私は、部屋の戸棚から花瓶を引っ張り出し、水を入れて花を生ける
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