月夜の訪問者
「偶然よ」

普段なら曲げられないんだから
大体、誰のせいよ!











それから、何とか食事を終え
和泉に連れられ、部屋に戻る頃には、くたくたになっていた。

ハァー

やっと落ち着ける時間だわ
ドサッと、椅子に腰かける。


コンコン

ノック音
誰かしら?和泉?

「はーい」

出てみる。

あれっ?

「雅?」

相手を見て驚いた。
ノックするなんて珍しい

「どうしたの?」

要件を訪ねる。

「部屋には入れてくれないのか?」

と、雅

「入りたいの?」

仮にも女性の寝室なのだけど
それに、さっきの事が有って、気が進まない。

「不機嫌だな。
どうした?
廊下で立ち話しなんて、恥ずかしいのだが」

「そう、恥ずかしい話しなのね。
じゃあそこで話して」

雅のセリフに、要件を話すように促す私。

「違う!別に変な話しじゃない!!
仕方ないか」

雅は諦めたように、片手に持っていた本を私に差し出す。

「前に外国で見付けた本だ。
ヒロインがお前に似ていると思ってな…」

差し出された本を受けとり、めくってみる

「英語?私には読めないわ」

突き返す。
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