月夜の訪問者
「何処が?
誰が魔法使いで、誰が王子様?
で、何処がハッピーエンドなわけ?」

全然当てはまらないでしょ

継母と、義理のお姉さんに虐められてた所までしか、合ってないし
大体、この物語りの主人公は王様と妃様の間の子で、何の問題もないじゃない。

産まれた時は、さぞかし皆に祝福されたんでしょうね。

「王子様は俺に決まってるだろ
そして魔法使いも俺だ
ガラスの靴の持ち主を探す召し使いも俺だ」

「随分と経済的なのね」

雅のセリフに
フフっと
不覚にも、ちょと笑ってしまう。

「ああ、一人三役は称賛に値するだろ?」

と、雅

「まぁ、アナタの場合は過大評価ね」

サラッと流し

「私、お風呂に行って来るわ」

雅を残して部屋を出た。

私にハッピーエンドなんて、有り得ないわ…

また3日もすれば、意地悪な継母と、義理の姉の家に逆戻り

まぁ、私の場合は、私が継子なんだけどね。

私には優しい王子様も、魔法使いも居ないし

ああ、意地悪な王子様なら居るんだけどね…
いやっ、酷い王子様の間違いかしら

軽く自嘲し、和泉の部屋をノックした。
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