月夜の訪問者













「今日もご機嫌ナナメか?お姫様」

と、雅に声を掛けられた。

「別に…夢見が悪くて
あんまり眠れなかったの」

フワァと欠伸をしてしまう。

何か、怖い夢だったけど…
内容は忘れてしまったわ

「大丈夫か?」

と、雅
額に手を当てられた。

「風邪とか病気じゃないわ
心配しないで」

手を払い退ける。
思った以上に、雅が心配そうな顔を私に向けたので、驚いた。

「今日はここまでだ。大人しく寝ろ」

雅は立ち上がり、私の手を引く

「嫌よ、勉強したい」

勉強できる時間も、後3日だけなんだから

「我が儘言うんじゃない!勉強より体が大事だろ
勉強ならいつでも教えてやるから」

雅に『なっ』と、だだっ子を諭すように言われてしまい

「…うん」

ちょと考え、仕方なく雅の手を取った。

立ち上がるが、思った以上に平気では無かったらしく、ふらっと雅に倒れ込んでしまった

「全然大事じゃないじゃないかっ」

雅に呆れた様に言われてしまい、ムッとなるが
言い返す言葉もない。

顔を上げられずに、うつ向く
< 63 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop