月夜の訪問者
「仕方ないな、馴れない環境で気疲れしてしまったのだろう
気づかなかった俺の管理不足だ」

雅は言うなり、私を持ち上げ、ベッドまで運んでくれた。

「有り難う」

雅を見る。
本当に心配そうな顔を、私に向けてくれていて
何だか申し訳なくなる。

私の体調管理が悪かったせいなのに

「無理させてごめんな」

なんて、らしくない言葉を吐かれると困ってしまう。

優しく私の髪を撫でる手も、気になって仕方ない。

「アナタは悪く無いわ
私こそごめんなさい
直ぐに元気になるから」

そんな不安そうな顔は止めて
いつもの『自信に満ちてます』みたいな顔じゃなきゃ何か調子狂っちゃうわ

「ああ、一応医者を呼ぼう」

と、雅

「寝不足なだけなのに大袈裟よ」

大丈夫と、笑ってみせる。

「無理して笑わなくて良い、一人で寝てられるな」

雅は言うと、ベッドから離れようとする。

あっ

思わず、手をつかんで引き留めてしまった。

「ごめんなさい」

慌てて手を離す
何で私、手なんて握っちゃたの!?

自分の行動に混乱する。

「だっ大丈夫だから行って」

慌てて退室を促す
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