月夜の訪問者
「いや、体調不良の時は不安になるものだ
寝付くまで隣に居てやるから」

私の方に向き直し、ベッドの隣に腰を下ろす雅

そして私の手を握ってくれる。

「別にいいのに…」
「良いから早く寝ろ」

私も口では言うが、何だかんだで、雅の手に安心する。

何だか眠れそうだ…










「ゆ、ゆり…友理!!」

名前を呼ばれ
バッと起き上がる

ハァハァ息が苦しい

「大丈夫か?うなされてたぞ」

と、私の顔を覗き込む雅
確かに、嫌な夢を見た気がする。
寝汗もすごい

ハァーハァー
荒い息を何とか整える。

ハッ

「私、ごめん
ずっと雅の手握ってた?」

慌てて離す。
寝汗で湿った手なんて、気持ち悪いだろう。

「いや、大丈夫だ
医者を呼んでおいたから」

コンコン

雅のセリフに、被せる様なノック音

「あっ、やっと来たか」

雅は慌ててドアまで行き、ドアを開ける。

「やあ!久しぶり」

と、ドアの向こうの人
雅が居て姿は見えないが、白衣がチラリと見えた。

「話しは後だ!早く入れ」

どうやら先生らしい人の手を引っ張り、こちらに連れて来る雅。
ドアを閉めるのさえ忘れる勢いだ。
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