月夜の訪問者
それに何で

私、

雅の口付けを拒まなかったの?


口付けされるの


嫌じゃなかった…


いや、寧ろ



私…


良く考えたら、雅は私を家から連れ出してくれて、素敵な服を選んでくれたり
姉さんの刃物から身をていして守ってくれた。
勉強も教えてくれたし
お医者さんも呼んでくれて

今だって、私をこんなに心配してくれている…




好き…


そう、は雅が好きなんだわ

ギュッと胸元の服を掴む


そうだ

気付きたく無かった

何で雅が私を選んだのか、解らなかったから

捨てられて傷つくのが嫌だったから

どうしょう

気付いてしまうなんて

結婚したら用無しになるかも知れない

傷つくだけよ?

どうして私、雅に選ばれてしまったの

哀しいだけなのに

神様って意地悪なのね…

どうして気付ついちゃたのよ

あと2日だったのに

私は…

シンデレラには成れないわ


私は布団を被った

何故なら、私の瞳から込み上げる雫が、布団を濡らしていたから。

止まらない雫

せめて

せめて、雅には気付かれませんように

私の気持ちも

この、涙も…




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