月夜の訪問者
目を覚ますと、ベットの縁に顔を伏せて眠る雅の姿

外が明るい、朝ね

「寝るなら部屋に戻りなさいよね」

と、悪態をつけつつも
クスッと、笑いが溢れる。

雅が居ることに安心してか、少し眠れた気がする。

「ほら、風邪引くわよ」

雅の肩を揺らし、声をかける。

「う…」

眠そうに目を開ける雅

「俺、寝ちゃたのか!?」

途端に飛び起きる雅

「そうみたいね」

と、笑ってやった。

「友理、大丈夫だったか!?
おいっどうした?」

私の頬に手を充て、顔を見詰める雅

「えっ?」

何の事か解らず、首を傾げる。

「目が腫れてるじゃないか!」

と、言われて思い出した。

はっ!
泣いたんだった

腫れちゃったんだ。

「あっ、ちょと怖い夢を見ちゃて…」

慌てて誤魔化す。

「そうか…気付かなくて悪かった」

「えっ大丈夫よ!
有り難う見ててくれて」

そんなに落ち込んだ様な顔されると、罪悪感を感じてしまう。
雅が悪い訳じゃない。


「ああ、そろそろ朝食だが食べに出られそうか?」

と、時計を見る雅

「ええ、食べに行くわ」

頷く。
心配ばかり、かけてはいられない。
< 75 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop