月夜の訪問者
コンコン

丁度見計らったかの様にノック音がし

「朝食の準備出来ました」

と、和泉の声
まぁ、時間通りに来ているのだろうが
一分狂わないあたり、和泉は凄いと思う。

「ああ、今行く」

和泉に声をかけて「立てるか?」と、私に手を貸してくれる雅

「病人じゃないんだから、一人で立てるわ」

苦笑しつつも、雅の手を借りて立ち上がる。

ちょと貧血気味なのか、よろけてしまう私

「おっと、全然大丈夫じゃないじゃないかっ」

雅は言うなり、私を持ち上げる。

「ちょ、大丈夫だからっ下ろして!
重いでしょ?」

「片手で持ち上げて壁を乗り越えられるぞ?」

問答無用と、私に余裕気な顔を見せる雅。

そして、そのまま食堂へ

いや、それは言葉の文句として選んだだけで、解ってるのだ
私が心配してるのは…

食堂に入ると

「おはようございます友理さん…
今日は朝から新婚さんの様ですね」

ちょと驚いた顔をしたが、持ち前の柔軟さで切り返して来る
笑顔のお父様

「まぁ、素敵ですわね」

椅子を引く和泉まで口を合わせる。

あぁ、これが恥ずかしかったのよ。
頭を押さえる。
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