月夜の訪問者
私を椅子に座らせて、雅も私の前の席に腰を卸した。

「さて、頂きましょう」

と、言うお父様の合図に食事を始めた。

先ずはスプーンを手に取り、スープをすくう。

「ところで、結婚式の日取りはいつにするの?」

「はっ」

お父様の台詞に、思わずスープを溢しそうになる。

「おや?大丈夫ですか?」

と、お父様

「えっええ、すみません
えっと、それは…」

なんて答えれば良いか解らない。
まさか『後2日で居なくなります』なんて言えないし…

「親父。その事なんだが、少し保留にして考えてくれ」

と、雅

えっ?

「何!?それはどう言う事だ!」

珍しく声を荒げるお父様

「今は友理の体調管理が優先と、言う話だ。
深く考えないでくれ」

雅は、何事もないように食事を進める。

「まさか、友理さんの体調が良くならなければ、結婚を破棄しよう、等と考えてる訳でじゃないだろうな」

と、雅を睨むお父様

「さぁ、それはどうだろうな…」

雅は、そう言うと、早くも食事を終えたのか、席を立つ
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