夕闇、君にビーチグラス。
大きな窓と重たいカーテンを隔てた向こう側から漏れる微かな光と、空に零れた無数のヒカリ。
それだけが暗闇のなかで君を照らしていた。
「ねえ」
鮮やかなブルーのドレスは、ここでは深い藍に見えた。
ともすれば黒にも見えうる深い深い、アオ。
「ねえったら」
「…はい」
背中に波打つ長い茶髪は、潮風に遊ばれて静かに揺れる。
「すごい星ね」
「他に、明かりがないから」
人工の光がヒカリを消す。
強いモノが残るのは、どの世界でも共通の事実なのだろう。
「星に…」
上に立つ君は、
「星に手が届きそうね」
ーー小さなひかりに何を請う?