夕闇、君にビーチグラス。
「……星に?」
「ええ、だってこんなに沢山あるんですもの」
「ーー」
彼女はとても退屈そうに言うから。
「どうしましょう」
パーティーに疲れたのは僕も同じだけれど。
「欲しいわ、あのひかり」
まさか、そんなことを言うなんて。
飽くまでも口調は退屈そうなまま。
彼女の声色と、その言の葉があまりにも合わなくて。
なのに、何故か切に願っているかのようで。
「……無理、なのでは?」
到底、実現しなさそうな絵空事に真面目に返してしまった。
それが失敗だと気付いたのは言葉が僕から完全に離れてしまってからのことだった。