夕闇、君にビーチグラス。
月光が、まるで彼女のためだけかの様に降り注ぐ。
「ーー」
静寂が辺りを支配した。
窓の向こうでは煌びやかな茶会が続いているけれど。
関係なく、彼女の周りは音なんて存在してないかの様に。
白く細い腕が夜空に吸い寄せられた。
「……」
先刻の言葉通り、それは掴むかのように。
空に向けられた無機質な瞳。
暫くそうして、不意に吐き出された小さな溜息と降ろされた腕。
「……やっぱり、届かないものなのね」
ーー…息が、止まる。