初恋泥棒!
一大決心の初恋
噂の窓辺の男の子
「はぅ…。無口でクールで。世界一かっこいい!」
教室の一番後ろの隅っこの席。
机もイスも、他のものと変わらないはずなのに、全部輝いてる。
「もはや、あれはもう机とイスじゃないな」
「じゃあ、あれはなんなんだ」
「ぎゃっ!!」
私の目の前から輝く席が消え、二重ぱっちりのデカイ目が現れた。
思わず、飲んでいたパックのジュースを吹き出しそうになって
口を慌てて押さえた。
「もうっ!しぃちゃんのバカ!私の恋路を邪魔しないでーッ!」
「あんたのは、恋路じゃない。ストーカーだ」
“そろそろ訴えられるんじゃないの?”と言って
私を呆れて見る。
矢口志桜里(やぐち しおり)
高校で出来た私の唯一の親友。
うるさくて甘えたがりな私は、いつも女の子からはウザがられて友達一人できなかった。
だけどしぃちゃんだけは、キツイことも言いながら、絶対に私のそばにいてくれた。
そんなしぃちゃんと……