終夜よすがら〜大好きな人を一晩中想う〜
ハァー
自分の部屋のドアを開けただけのことなのに
ため息が出てしまう。
私の部屋には
りょうくんとの思い出が多すぎるから。
今日
「 最初から
ちとせは2番目だったから! 」
自分が2番目じゃないかとわかったのも昨日のこと。
それが自分でわかったならいいけど…。
「 ちとせ!
先週のたしか金曜日の夜に
ちとせのダーリン見たよ!
しかも女と腕組んで歩いてたよ。 」
曖子から聞いた言葉を
聞かなければ
ずっときっと私は知らないで
りょうくんの隣にいたんだよね?
でも
聞かずにはいられなかった。
私は
りょうくんの彼女だと信じていたから
「 ねぇ、りょうくん
金曜日の夜
たしか残業だって言ってたよね? 」
「 そうだけど何? 」
「 りょうくんが女の人と歩いてたって聞いたから…
仕事関係の人だよね? 」
「 何一人で熱くなってんの?
ちょっと聞きたいんだけど、
いつ俺はちとせが彼女だって言ったかな?
言った記憶ないけど! 」
「 えっ?
私たち付き合ってるんじゃないの? 」
「 付き合ってはいるよ。
でも
最初からちとせは2番目だったから。
本命とデートして当然でしょ? 」
この会話をして
一緒に食べてた食事も途中で帰宅してきた。
でも
自分の部屋にいるのに
りょうくんと一緒にいるみたいで落ち着かない。
時々泊まりに来ていたけど…
なんでいないのに
いない人なのに
この部屋に
りょうくんの存在感がありすぎるよぉ!
ピンポーン…
ピンポーン…!
こんな夜中に誰がくるのよ!
まさか…?