終夜よすがら〜大好きな人を一晩中想う〜
「 はぁーい… 」
「 オレだよ! 」
りょうくん?
りょうくん!
「 オレの荷物取りに来た。
それと
これ返すわ。 」
私の手のひらに返ってきたのは
この部屋の合カギだった。
それ以外
何も会話をせずに
りょうくんが持参したゴミ袋のような
大きな袋に入るだけ詰め込んでいた。
「 あとオレのあったら捨てといていいや。 」
私は言葉が出ずに頷くだけだった。
たまに泊まりにきてただけなのに
そんなに荷物あったんだね。
「 ちとせ、まぁ元気でな! 」
りょうくんは言い捨てるようにして
ドアを閉めた。
玄関から部屋をみると
りょうくんの荷物がほとんどなくなったのに
この部屋のモノが
りょうくんを感じてしまう。
いつも一緒に映画を見ていたソファーに座り
なんか泣けてきた。
[ 曖子、りょうくんが自分の荷物取りに来たんだ。
これで終わったんだね。 ]
とメールをして
涙が止まらなくて自分の服を濡らしていく…
「 2番目だった…かぁ。 」
誰もいない部屋で
寂しすぎる独り言を呟いた。