終夜よすがら〜大好きな人を一晩中想う〜
「 そうだ!
さっきのテレビの中
旅をしよう。 」
キミもキレイだと言っていた、あの街へ。
もう白い街ではないかもしれない。
けど…
もしかしたら
新しいモノが好きで
一人でも出掛けてしまう
キミなら
あの街にいるような気がした。
窓の景色が
キミがいなくなってからの時間をおしえるように
早く流れていく
今までは
こんなに早くたどりつける街ではなかった。
「 オレはやっぱり、
ゆっくり歩んでいきたいな。 」
自分の独り言が
あまりにも大きかったことにウケたけど
隣の列に座っている女性に
「 新幹線に乗ってて言ったらダメなセリフですよね。 」
って
微笑まれてしまったから
オレもつられて笑ってしまった。
笑いながら
久しぶりに人と一緒に笑った気がして…
泣けてきた。
泣けてきて
忘れたくて
心にフタをした言葉を思い出してしまった。
「 相手に思っていることは伝えないと
伝わらないからオレは言うよ!
例え大切な人の大切な人だったとしても…。 」
あれは美法のことだったんだなぁ。
気がつかなかったよ。
一太はずっと美法を見ていたんだ。
「 あのぉ…大丈夫ですか? 」
自分は今どこにいるのか、忘れてしまっていた。
「 だっ、大丈夫です。
すみません…
恥ずかしいところを見せてしまいましたね…。 」
「 色々ありますよね…
うん、色々あるんですよね。
…
あっ!
一緒にお弁当食べませんか? 」