終夜よすがら〜大好きな人を一晩中想う〜
いつものように私は
連弥の家に来ていた。
いつも通りチャイムを鳴らさずに入ると
私の連弥と希鳴がキスしていた。
連弥のことは
何でも知っているはずだった。
どこで間違えたのだろうか。
ずっと
ずっと見ていた…はずなのに
となりに住んでいたのに!
「 琲由は一番大切な友達だよ。
今までも、これからも。 」
私のことを言っている言葉。
そんな言葉なんて欲しくなかったよ。
一番いらなかったよ。
私は何も言わずに
自分の部屋に戻った。
私の部屋のドアを激しく叩く音に
少し期待しちゃったけど…。
「 オレはずっとそばにいるからな!
絶対離れないからな! 」
強く抱きしめてくれたのは同じ顔した別の人だった。
今の私は
連弥と同じ顔なら
誰でも良かったのかもしれない。
連弥と同じ温かさがあれば、
それだけで良かった。
ねぇ、
私の大好きな連弥じゃなくても
誰でも良かったなんてさ
私自分のことでも知らなかった。
連弥も私以外の女でも良かったなんて
知らなかったなぁ。
ずっとそばにいたのにね。
何も知らなかったんだね。
「 琲由、
オレはお前だけを愛してる。 」
くちびるが
ほんのりとあったかくなっていた。
end