終夜よすがら〜大好きな人を一晩中想う〜
「 東京には空がない! 」


春休み明けの学校で
空を見上げている男子がつぶやいた。


東京に空がない?


一瞬自分の名前を呼ばれているのかとビックリしたけど、
空…ねっ。
でも知らない男子だった。


空がない?


私は一人
空を見上げてしまった。

確かに東京には
青い空はないようか気がする。

でも、
あの寂しそうな横顔が
きっと私は忘れないだろうと瞬間で思った。


「 東京には空がない…かぁ。 」


「 空奈?
朝からどうした?
熱でもあるの? 」


私のおでこを触りながら…


「 大丈夫みたいだね。
それより新しい先生カッコイイって明日羽が騒いでたよ。
早く教室行こう。 」


私の手を引っ張って走り出した。
転ばないようについていくのがいっぱいいっぱい。

美森は家も隣だから
小さい頃から一緒に行動することが多い。
けどさぁ、
学校のクラスは違ってもいいのでは?
と思っていたけど…
今の言い方じゃ今年も一緒らしい。
仲良しだけど、
少し離れてみたかった。
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