終夜よすがら〜大好きな人を一晩中想う〜
[ 私なんか助けてくれなくても良かったのに…。
乙稀…
私はまだ何も知らないんだよ。 ]


私は毎日、
乙稀のところへ行った。

返事はしてくれないけど、
乙稀に毎日学校の話をした。


一週間がすぎた頃
乙稀は個室に移っていた。


はじめて乙稀のお母様に会った。


「 はじめまして。
それと…ごめんなさい。
友達に聞きました。
私を助けようとしてくれたんだと。
本当にごめんなさい。 」


私は頭を下げる以外に
何をしていいか
わからなかった。


「 もしかして、
あなたは空奈さん? 」


「 はい! 」
私は顔をあげた。


「 乙稀が今うわ言で呼んでたわ。
男として、あなたを守ったのね。
時間はかかるかもしれないけど、
乙稀は
ちゃんと元通りになるから大丈夫よ。 」


私の肩をたたいてくれた。


「 本当ですか?
私、毎日きます。
乙稀くんに学校の話をしてるんです。
いいですか? 」


お母様は、
にこっと笑ってくれた。
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