終夜よすがら〜大好きな人を一晩中想う〜
なんでこうなるのかなぁ?
わからないんだけど。

お互いにフリーだったから?

天那の言うように、
お試し感覚なのかな?

つきあってみることになってしまったわけです。


「 智波ちゃん、
一緒に帰りましょ? 」


放課後一つ年上の楊梅くんが洗朱くんと共にやってきた。

天那はニコニコしていて

いつも洗朱くんと手を繋いで帰っていくという後ろ姿しか見ていなかった私は

友人のこんな顔も知らなかったのかと
友人の彼氏の顔も知らなかったのかと自分に呆れていた。


今私は自然と楊梅くんの左側を歩いてしまうって何?

今日会ったばかりなのに何かシックリしてしまう自分って何?

誰でもいいってこと?

男性なら誰でもいいってこと?


「 智波ちゃん?… 」


歩いてる私の右腕を引く…

「 智波ちゃん!
そんなに悲しい顔しないでよ。
オレに気になってること
いっぱいぶつければいい!
溜め込むのは辛くなるだけだから…。 」


あれ、胸があったくなった。

あれ、今まで感じたことないけど…

あれ、なんだろう…
この感じ…


「 ありがとう。
楊梅くん。 」


「 智波ちゃん、
たぶん知らないとおもうけど、
オレの名前…理佑っていうから!
こっちのがカンタンでしょ?
呼んでみて! 」


顔を覗きこんで呼ばれるのを待っている顔は…


「 理佑くん? 」


「 はい!
よくできました。 」


あの顔は…。
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