終夜よすがら〜大好きな人を一晩中想う〜
自分が辛くなると
私は決まって自分のキライな食材で料理を開始する。

キライなモノを克服するため食べてるように家族に見えるように。
泣いていても不思議に思われないように。

人前で泣きたくない。
泣くときはシャワーの音に消されるようにしている。


「 あれ?
七虹、今日はダイッキライなグリンピースにしたの? 」


缶詰を手にとり不思議そうに私をみているママ。


「 うん。
色はキレイでしょ?
そこにベーコンも入れて…、
もう少し待っててね。
ランチに間に合わせますよ! 」


「 楽しみにしてるね! 」



今日
ほんの一時間前のこと。

桜が舞い散る
キレイな空の下。

そんな素敵な時間の中
私はフラれてしまいました。

しかも あっけなく…。


「 ごめん、オレ
他に好きな子できたんだよね。
だから、七虹とは
もう会えないから…。 」


私は何も言えなかった。
私に、もう心がない正臣から言い訳を聞いても仕方ないし…


好きな子できた。


それだけで、
もういいって。


大好きな正臣の背中を見送っていた。

遠く離れたところに新しい彼女さんかな?
私の大好きな正臣を笑顔でむかえていた。

なんで新しいメガネをかけてきてしまったんだろう。

その彼女さんが
大好きな正臣のバイト先にいた
年下の女の子…初瀬川さんだった。

一度バイト先で名前を呼んでいるのを思い出した。

見たくなかった…
正臣…
大好きなんだよ、今も。
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