終夜よすがら〜大好きな人を一晩中想う〜
私が鈴登くんに会えたのは、
あれから一週間後のこと。

いつも待たされているから、
今日も待たされる覚悟をしていたのに…


「 小桜! 」


その声に振り返り
嬉しさのあまり抱きついてしまった。

鈴登くんのコートから
いつもと違う香水のにおいがした。


「 鈴登くん、
香水かえたのかな? 」


もう一度
コートのにおいを確かめようとしたけど
もうしなくなっていた。


「 変えてないよ。
電車、混んでたからかな? 」


鈴登くんも自分で
クンクンしながら笑っていた。



やっぱり
この笑顔が大好き。

今日も鈴登くんに会えた
私って本当に幸せだわ。


「 小桜ってさぁ、
なんか仔犬みたいにクンクンしてくるし今みたいにね。
時々ジャレついてくるし、
まったく甘えん坊さんだからなぁ。
そこが、かわいいんだけどね。 」


その言葉で
私はさらに腕にしがみついた。

外だというのを忘れて
一目も気にしないでくっついていた。

誰かに見られているような気がしたけれど…
そんなこと気にもしないで、
今この瞬間の
幸せをかみしめていた。

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