終夜よすがら〜大好きな人を一晩中想う〜
バイトはパン屋さん。
パンの香りが大好きで
あまり時給はよくないけど、
大好きなパンに囲まれているのって幸せ。

まあ、
こういうことでも幸せを感じてしまうんですけどね。
単純なのかな?



いつも通り
7時45分
お店の片付けをしていると…

あれ?
開智くん?

なんかソックリな人がいた。

いや、あれは開智くん。
双子なんて聞いたことないし、
自分の彼氏を見間違うわけないし…
私には見たことがない開智くんが歩いていた。


かわいい!
って感じではなく
男らしくスーツを着ていた。

女の人と腕を組んでいて…
私とは別世界の人になっていた。


でも…
あの女の人
あんなに化粧濃いけど
誰だかわかってしまった。
一番一緒にいてほしくない人だった。


なんで?
私の大好きな人に腕をからませているの?


なんで?
私の大好きな人じゃなきゃいけないの?


なんで?

なんで?

ねぇ!
教えてよ。


私は
お店の片付けより
今見てしまったもののが重要になってしまった。


ドアを開け広げたまま外へ走った。
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