Love of space 1
『まだバレてないと思いますが…
もしかしたらバレてるかもしれないです。
こういうときはどうすればいいですか??』
と、俺が言うと黙り込む水谷先生。
「私がその答え…知ってると思いますか?!
先生と同じ新米教師ですよ?!
伊藤先生とかに聞けばいいじゃないですか…」
『その答えは…ありません。』
急に後ろから声がした。
後ろを振り返ると
『「伊藤先生?!」』
がいた。
いつのまに…いらしたんですか??
『驚かしてすみません。
近くにいたんで聞こえたんですが、
朝倉先生はお困りのようですね。
生徒は好奇心で溢れています。
だからできるだけ自然に巻いて、回避してください。
朝倉先生ならできると思いますよ?
頑張ってくださいね。』
オジサン臭い笑顔を残し去って行った。
「朝倉先生!!
頑張ってくださいね。」
水谷先生はお先に失礼します。と言って帰って行った。
何をどう頑張ればいいんだか…と言う思いで俺も学校を出た。
少し後ろに意識するが今日は誰もいないみたいだ。
『久しぶりに真っ直ぐ帰れるなぁ~』
ここのところ生徒を巻くために寄り道ばっかりしてたからな…
嬉しくて歩く速度が速くなる。
このときの俺はバカすぎたんだ。
浮かれすぎて気づいていなかった…
自分の後ろに身を潜めている黒い影に…。
もしかしたら
このときから
少しずつ…
零と俺の歯車が
狂い始めていたのかもしれない…