Love of space 1
懐かしい思い出
「朝倉先生…やけにテンション高いじゃないですかぁ…」
俺の姿を見て呆れ顔を浮かべる水谷先生。
『そんなことないですよ??』
俺は自分のテンションが高いことに気づき、普段通りを装う。
「ウソついてもバレバレですよ~
まあ仕方ないですよね。
なんと言っても今日から冬休みで、
しかも明日は”クリスマス”ですもんね。」
そう、明日は待ちに待ったクリスマス。
『水谷先生だって人のこと言えないじゃないですかぁ~
明日は彼氏さんとラブラブクリスマスを過ごすんでしょ??』
やべぇ…なんか勝手にテンションが上がって行く。
「そんなぁ~
やめてくださいよ~。
ラブラブクリスマスなんて…
だいたいその言葉、先生のキャラじゃないですよ。」
水谷先生はクスクスと笑っている。
俺のキャラじゃないですよね…。
そんなこと、十分分かってますよ。
ただ、水谷先生がうらやましいんです。
明日…ものすごく悪いことが起こりそうな・・・そんな予感がするから…。
”待ちに待ったクリスマス”なんてそんなのウソだ。
本当は明日が来ることが怖い…
最近の零はどことなく様子がおかしい。
調理室に遊びに来ても元気がないし、
電話をしてもすぐに切っちゃうし、
メールも素っ気無い。
そんなことされれば誰だって不安になるだろ??
「実は…今日からお泊りなんです」
ニヤけながら何を言うかと思えばそんなことですか…
『はい、はい。
ノロケ話は今度聞きますよ。
では、先に失礼します』
俺は帰り支度をして、職員室をあとにした。
このあと久しぶりに高校の同窓会がある。