Love of space 1

懐かしい思い出





「朝倉先生…やけにテンション高いじゃないですかぁ…」


俺の姿を見て呆れ顔を浮かべる水谷先生。



『そんなことないですよ??』

俺は自分のテンションが高いことに気づき、普段通りを装う。



「ウソついてもバレバレですよ~


まあ仕方ないですよね。

なんと言っても今日から冬休みで、
しかも明日は”クリスマス”ですもんね。」


そう、明日は待ちに待ったクリスマス。


『水谷先生だって人のこと言えないじゃないですかぁ~

明日は彼氏さんとラブラブクリスマスを過ごすんでしょ??』


やべぇ…なんか勝手にテンションが上がって行く。


「そんなぁ~

やめてくださいよ~。


ラブラブクリスマスなんて…

だいたいその言葉、先生のキャラじゃないですよ。」


水谷先生はクスクスと笑っている。

俺のキャラじゃないですよね…。


そんなこと、十分分かってますよ。


ただ、水谷先生がうらやましいんです。



明日…ものすごく悪いことが起こりそうな・・・そんな予感がするから…。


”待ちに待ったクリスマス”なんてそんなのウソだ。



本当は明日が来ることが怖い…

最近の零はどことなく様子がおかしい。


調理室に遊びに来ても元気がないし、
電話をしてもすぐに切っちゃうし、
メールも素っ気無い。


そんなことされれば誰だって不安になるだろ??


「実は…今日からお泊りなんです」

ニヤけながら何を言うかと思えばそんなことですか…


『はい、はい。

ノロケ話は今度聞きますよ。


では、先に失礼します』


俺は帰り支度をして、職員室をあとにした。


このあと久しぶりに高校の同窓会がある。






< 107 / 251 >

この作品をシェア

pagetop