Love of space 1
窓
『トイレ行こうかな。』
俺の仕事場の調理室を出る。
普通だったら職員室で仕事をするだろう。
でも俺は職員室が嫌いだ。
理由は2つある。
1つ目はコーヒーとタバコの臭いが混ざっていて、
あんなところに長時間いたら鼻がおかしくなりそうだから。
2つ目は職員室の中で一番下っ端な俺。
だから他の先生に気を遣わなければならない。
そういうのが俺は嫌いだから。
調理室なら誰も来ることがない。
なんたって4階の一番奥にあるから。
『……………………』
調理室のドアを開けた俺は思わず立ち止まる。
目の前には欠伸女…
じゃなくて西城零がいた。
哀しい瞳で窓の外を眺めている西城零は俺に気づく様子がない。
黙ったまま窓の外を眺めていた。
『西城…………??』
俺は小さな声で西城零に声をかける。
だけど西城零はまだ俺に気がついていない。
『…………………?!?!』
そうすると西城零の瞳から一粒の涙がこぼれ落ちた。
これ以上声をかけてはいけない気がして俺は静かにその場を立ち去った。