Love of space 1
【ガラガラガラ】
相変わらず開きが悪いドア。
足を踏み入れればいつも油のような独特の匂いが香るここ。
……………調理室。
本当はここに来たくなかった。
毎日零と過ごしていたこの場所に来るのが怖かった。
ここへ来てしまったら俺はまた泣いてしまうだろう。
そのことが分かっていたから…俺はここ…調理室に来たくなかった。
でもさっきの水谷先生の言葉のおかげで俺はここに来る決心ができた。
きっと泣いちゃうと思うけど…でもちゃんと気持ちを整理しないと…
俺はいつものようにイスに座った。
隣に零の姿が見える…
幻覚を見てしまうくらい、俺は零を愛していたのか…。
そして気づいたら…やっぱり、涙が溢れた。
”悲しいなら悲しい。
それでいいじゃないですか”
水谷先生の言葉が聞こえて俺は涙を拭おうとした手を下ろした。
悲しいから人は涙を流すんだ…
俺は今、悲しいんだ。
そう思ったら涙は勢いを増した。
格好悪くても悲しいものは悲しいから仕方ないんだ。