Love of space 1
『実は昨日…調理実習の仕込みがあったんですけど』
水谷先生の方をちらっと見ると好奇心丸出しの水谷先生の姿。
『俺が行くの遅れちゃって調理室に行ってみたら女子が2人いたんです。
その中の1人が”西城零”だったんです。』
「それでどうなったんですか?!」
『俺は調理室の前の窓から何を見てるんだ?って聞きました。
そしたら西城零は”空港を見てる”って言ったんです。
俺…何も言えなかった……。』
『でも、思わず言っちゃったんです。
”悩みがあるならいつでも話聞くから。
独りで抱え込むなよ…”って。
まずかったですかね??』
俺は俯いていた顔を上げ水谷先生を見つめる。
「んーもうちょっと気の利いたこと言った方がよかったかもしれないですけど…
でも朝倉先生にしては頑張ったんじゃないですか??」
ニコッと笑みを浮かべる水谷先生。
『そ、そうですかね……??』
「大丈夫ですよ!!
とにかく、今日頑張ってくださいね。
報告待ってますから。」
水谷先生は授業の用意を持って職員室を出て行った。
『はぁ~』
と、俺は大きな溜め息をつき1人になりたくて調理室に行った。