Love of space 1
「卒業式の練習、終わったみたいですね。」
外が騒がしくなる。
それに気が付いた水谷先生がこっそり耳打ち。
そんなこと、言わなくても分かりますよ。
『そうですね。
ちょっと、用事あるんで調理室行ってきます。』
俺はそう言って職員室を出た。
本当は調理室に用なんてない。
ただ、水谷先生から逃げただけ。
あの人は容赦、ないから。
調理室に着いた俺はイスを並べる。
なぜか、って……??
そんなの決まってるじゃないか。
昼寝、するため。
寝るなってか…??
そんなの無理だ。
別に眠いワケじゃない。
ただ、寝れば何も考えなくてすむだろ??
零が俺の近くにいると思うだけで、どうしようもなくドキドキする。
まだ零のこと好きなんだよ、俺は。
フラれたのに、
会えないのに、
日に日に
”好き”
が増していく。
もう、俺の気持ちは
誰にも止められなくなっている。