Love of space 1
「か、垣本くん…や……やめて…」
階段を昇っている間にも零の叫び声が聞こえる。
その声は震えていて、泣いてるようだった。
「誰か助けて…助けてよ!!」
零、もうちょっと待ってろ。
もう、今すぐお前のところへ行くから。
『西城…諦め悪いぞ。
ここはどこからも死角になってるんだ。
お前の声が届く訳ない。』
と、男の声が聞こえる。
別棟の最上階、4階に着いた。
4階のどこかの教室から聞こえる。
『クッソ…。』
4階には教室が5つほどある。
5つの教室の中からたった1つ。
順番に回るのもいいかもしれない。
けど、いち早く零のところへ行きたいんだ。
そのとき、
「先生、助けて!!」
と、零の声が聞こえた気がした。